「パン」は何語?

日本で使っている「パン」という言葉の語源は、
ポルトガル語のpao、スペイン語のpan等から由来し、
日本では、麺包という字が当てられていました。
英語のbread、ドイツ語のbrot、オランダ語のbrood、
デンマーク語のbrodは 古代チュートン語からきたものとされ、
フランス語のpain、イタリア語のpane、スペイン語のpanなどは
ラテン語からきたものです。
またイギリスでは、ウェールズ地方へ行くとbreadを
別名bora(バーラー)とも 呼んでおり、ソ連では、
Xleb(フレープ)とよんでいます。




「ホット・ドック」はどんな犬?

調理パンの中でも、最も一般的になっているホット・ドックは
もともとアメリカで考案されたものです。
フィンガーロールという細長いパンで作る
この調理パンは、できあがりの形があの胴長で足の短い犬、
ダックスフンドを連想させるところから、
この名がついたといわれます。





「クロワッサン」は戦いの後の記念日 

クロワッサンの発祥地はウィーン、初めて 作られたのは1683年です。
当時オーストリアはトルコ帝国と戦いの真っ最中で、
次第に敗北の一途をたどるようになり、
首都ウィーンは敵に包囲されてしまいました。
しかしウィーンだけは守ろうとオーストリア軍も必死で
なかなか陥落しなかったので、トルコ軍はしびれをきらし、地下溝を
掘ってウィーン市内に入ろうと試みました。
しかし当時地下にはパン焼きの工場があり、その中で仕事をしていた
パン屋さん達が、いち早くそれに気づいてオーストリア軍に急報した
ので、手薄になっていた守備隊を急襲したオーストリア軍は、トルコ
軍に快勝することができました。その褒賞として、パン屋さん達は
いくつかの特権を皇帝から与えられたので、それを記念して、
パン屋さん達はトルコの旗じるしを思い出すような三日月型をした
パンを作り始めました。それがクロワッサンです。





「ドーナツ」とは小麦粉生地の木の実

今日、世界中でドーナツという名前を知らない人は少ない
くらい普及発展していますが、その名の由来はなかなかおもしろいです。
小麦粉の生地(ドウDough)から作った木の実(ナッツNut)という意味で、
やがてそれがドーナツと呼ばれるようになったといわれます。
作られた最初はオランダの揚げ菓子とされ、アメリカに伝わったのは
イギリスの清教徒達がアメリカ大陸に渡る前にオランダに滞在し、
そこでおぼえて新大陸に持ち込んだらしいです。





「ビスケット」は二度焼きパン

ビスケットの起こりは、パンを保存するために薄くスライスして
もう一度焼いたことが始まりといわれています。
できあがりが軽く保存に耐えるので、旅行者や船乗りの携帯食、
あるいは兵量としておおいに用いられたという。
名前は、二度焼き、つまりビス(二度)キー(焼く)から
ビスケット(二度焼いた)となった。





「カステラ」は国の名前

室町時代の末、ポルトガル人の来航によって、パンやビスケットなど
南蛮菓子が多く伝えられました。その時、砂糖や卵をたっぷり使った
この菓子も非常に評判になりました。これはスペインの菓子であり、
スペインのことを古くカスティリャ(Castilla)と呼んでいた
ところから、製法を伝えたポルトガル人がその菓子を
カステラと呼ぶようになったといわれています。





「シュー」はキャベツのこと

シューはフランス語でキャベツのことです。表面にキャベツを思わせる
亀裂が入り、中は空洞に焼き上がります。
これは、焼く前に小麦粉に火を通し、でんぷんを糊化させているからです。
絞り方でさまざまな形に作ることができ、甘いクリームや料理を
詰めたり、フォンダンやソースをかけたりと、使い方しだいで
応用範囲の広い生地です。





「チャパティ」・「ナン」

チャパティ(Chapatis)は、全粒粉、塩、水だけで作る無発酵の薄焼き
パン。本場のインドではタンドーリという壺形のオーブンに張りつけ
て焼きます。タンドーリ・チャパティは溶かしたギーという油脂を
塗りながら、何回も折りたたんで延ばす作業を繰り返してから
焼くので、普通のものよりデリケートなパイのような感触
になります。
ナン(Naan)は、白い小麦粉の平焼きパンで、チャパティと同様、
タンドーリという壺形のオーブンに張りつけて焼きます。
生地がチャパティよりも厚めなので、タンドーリに張り
つけたとき、生地の重みで垂れ下がり、洋梨の形に
なります。スパイスの効いた料理とともに食べます。





デニッシュ・ペストリー

デニッシュ・ペストリーは、今ではすっかり日本でもなじみのある
パンになっていますが、その名の通りもともとはデンマークで
作られていました。
この国では毎年9月に収穫祭が行われ、その日は各家庭で
いろいろな料理を用意する習慣になっています。
ペストリーはその中でも欠くことのできないもの。
バターやミルク、卵をたっぷり使って作られるこのパンは、主婦達の
腕の見せどころ。それぞれの家でとれるフルーツを入れたり
また独自のフィリングやトッピングをして飾り方も工夫し、
さまざまなものが作られます。
主婦達にとってこれを作るのは、ひとつの楽しみでもあり
近所の人々と、自慢のペストリーを持ち寄り、互いの味を
楽しみながら収穫祭を過ごすといわれています。





リッチなパン、リーンなパンとは?

"リッチ"とは豊富なという意味の言葉で、これからわかるように
パンの場合、生地自体に糖分や蛋白質、脂質が比較的多く
含まれているものをいう。つまり、砂糖、バター、卵、牛乳などが
レシピに多く取り入れてある「豊かなパン」で、ス立ちも良く、
硬くなりにくく、皮が薄いものが普通である。
"リーン"とは栄養の少ないという意味で、リッチと対照的
なものをいう。一般的に砂糖や卵、バターが入っていない、
あるいは非常に少ない生地である。小麦粉にイースト、
食塩、水だけで作った素朴なパンで、どちらかというと
表皮をかみしめて、そのうま味をたのしむものが多い。





フランスパン

フランスで普通パンと呼ばれているものは、日本でいういわゆる
フランスパンのことでかた焼きパンである。その数は小さいもの
から大きいものまで40種類以上にものぼり、そのひとつひとつ
がまた幾通りものバラエティを持っている。そのほかに非常に
リッチな配合のブリオッシュ、クロワッサンや、また地域や環境
に合わせたレシピのパンがいくつもあり非常に楽しいパンの
国である。しかしあくまで主流はかた焼きパンで、それは
世界でも例をみないほどのものである。




ドゥ・リーブル(deux-livres)
2ポンド、約1Kgの意。
生地重量でこの重さのフランスパンの名前。
実際にはこれよりやや少ない850gの生地を
長さ55cmくらいに焼いている。



バゲット(baguette)
細い棒の意。
フランスパンの代表的なもので、生地重量は350g、
7本の切り込みをつける。



バタール(batard)
あいの子、雑種の意。
ドゥ・リーブルとバゲットの中間の太さ、長さのもの。



パリジャン(parisien)
パリっ子の意。
バゲットよりも太いフランスパン。
生地重量は650g、長さは67〜68cm。



クッペまたはクーペ(coupe)
クーペは切れ目のこと。
切り込みのある小型のフランスパン。
日本のコッペパンはこれが語源だが、
実体はずいぶんとちがったものになっている。







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